筆者は確率論・関数解析学志望,結果は不合格でした.対策の方針と,実際に用いた教科書をまとめ,最後に確率論・関数解析・実解析分野のB問題の過去問7年分+今年度(2022年度)とその略解+解答速報のpdfを掲載します.
A問題の対策
- 必答問題は線形代数学と微分積分学からなる.
- 線形代数学は,一般固有空間分解の仕組みを理解すれば,基本的にはその周辺から出る.とにかく,一般固有空間展開と関連する対角化の事実を徹底的に理解することが先決と判断.
- 斎藤毅『線形代数の世界』(東京大学出版会・大学数学の入門)
- 杉浦光夫『Jordan標準形と単因子論』(岩波講座・基礎数学)
- 微分積分学は,積分・微分操作と極限操作の相互作用・交換を主題に種々の設定で問題が出る.テクニックとしては必然的にTaylor展開・整級数展開を頻繁に使うことになるだろうから,複素解析学を復習したら,微積分学の基本事項を見直すのが良いだろうと判断.
- Walter Rudin Principles of Mathematical Analysis (McGraw Hill)
- 線形代数学は,一般固有空間分解の仕組みを理解すれば,基本的にはその周辺から出る.とにかく,一般固有空間展開と関連する対角化の事実を徹底的に理解することが先決と判断.
- 選択問題:線形代数学・テンソル代数,複素解析学(留数解析),常微分方程式なども出題されるが,筆者が重点的に対策し,そして回答したのは次の2分野.
- 微分積分学:級数論が比較的出やすい(これはRudinが詳しい).他も種々の問題が出るが,Rudinの範囲を出ない.
- 高橋陽一郎『実関数とフーリエ解析』(岩波講座・現代数学の基礎):前半に級数論がまとまっている,本質的にはRudinとかぶるが少し提示の仕方が違い,効率的な復習となる.
- 位相空間論:コンパクト開位相など,関数空間上の位相が出やすいが,基本はまんべんなく出る.
- 微分積分学:級数論が比較的出やすい(これはRudinが詳しい).他も種々の問題が出るが,Rudinの範囲を出ない.
B問題の対策
- 確率論
- 独立性が破れた確率変数列の極限を種々の道具を使って解析する問題が出題される.
- 伊藤清『確率論』(岩波講座基礎数学)
- 吉田朋広『数理統計学』(朝倉書店・講座 数学の考え方21)
- 舟木直久『確率論』(朝倉書店・講座 数学の考え方20)
- Partick Billingsley Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics)
- Partick Billingsley Probability and Measure (Wiley Series in Probability and Statistics)
- 高信敏『確率論』(共立出版,数学の魅力4)
- 関数解析学
- 具体的なBanach空間,Hilbert空間を対象にした問題が出る.
- Gert Pedersen Analysis Now (Springer GTM 118)
- Walter Rudin Functional Analysis (McGraw-Hill)
- 実解析
- 盛田健彦『実解析と測度論の基礎』(培風館)
- Walter Rudin Real and Complex Analysis (McGraw-Hill)
- 吉田耕作『測度と積分』(岩波講座基礎数学)
過去問対策
略解は付いていたり付いていなかったりする状態ですが,確率論・関数解析・実解析分野の過去問リストとしては使えると思います.
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